第27章 剣術

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カンナは、息を切らせて詫びる可愛い夫を許し微笑んだ。 「いえ、私もあなたの妻として怠慢でした。今日は反省して若い妻には出来ない仕事をして参りました」 「王都の友人の話か。何を聞いてきた?」 「最近何か変わったことはないかと尋ねたら、先程差し上げた黄金のリンゴを差し出されました。あれは青い龍の肉と引き替えに、青い男性が置いていったものだそうです」 「なんだって?」 「半永久的に保存されていたのか、それともどこかに果樹が存在しているのか。いずれにせよ常識ではありえないことです」 「ああ。しかもそれを青い男なら入手困難ではないはずの青い龍の肉と引き替えにするなんて普通じゃないな。その青い男というのは誰なんだ。肉を渡したなら理由は聞いたのだろう?」 「正体は明かさなかったそうです。理由についても、何も聞かない方があなたの為だと言われたそうで……」 「言えない理由ってことか。穏やかじゃないな。それでも取引に応じたってことは、肉を渡した奴より強い男なのだろうな。そういえば……」 赤龍は長の会議の後の黄龍と青龍のやりとりを思い出した。黄龍が青龍に青二は元気かと尋ね、青龍が最近忙しくて会っていないと答えたのを聞いて少し引っかかったのだ。 (相手が黄龍だったからか?) 以前赤二の件で黒龍と喧嘩になった時、仲裁に入った青龍は赤龍にだけ弟の話をしてくれた。赤二ほど深刻ではないが彼の弟の青二も特異体質で、学生寮で同室だった黄龍に話を聞いたら関係を認めて謝罪されたという。当時は金龍の後継者を育てる為に見込みのある若者に現在より多くの栄養価の高い肉が与えられ男性同士の過剰な交わりも容認されていたので致し方ないことだし恐らく原因はそれだけではないと答えて、共に長である黄龍とは良好な関係でありたいと努力はしているが、青二が未だに未婚でいるのを見るとつい彼を責めたくなると青龍は赤龍に共感してくれた。
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