第28章 王の裁き

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その頃、銀龍は城内の王にしか開けない部屋に連れ込んだ黄龍を責めていた。 「おまえは、特別な友人だという理由だけで青二に手を貸したのだな」 「はい……」 「おまえは金の龍を見たのだろう。青二は、金龍が密かに残した金の花園で金の龍を育てているようだ。そして黄二は、おまえが逃がした桜を金の龍人にする気らしい」 「まさか……そんな!」 「2人から何も聞かなかったのか? おまえの力なら、その気になれば知り得たはずだが?」 「いえ私はただ……2人共信頼していただけで……」 「ああそうだな。疑うのは気分が悪いし、知ってしまえば対処を迫られる。そんな面倒はご免だな?」 黄龍は抑揚のない声で話す銀龍を見上げた。声だけでなく、顔にも、全く表情はなかった。 「青龍は、青二の裏切りに気づくとすぐ私に知らせてきて、その後調査の結果おまえが関与していることも報告してくれた。彼はいつも私の指示を正確に理解し忠実に実行してくれる。赤龍は青龍とは対照的に時に私の命令に背き自分の意思で行動するが、それで助けられることもある。だがおまえはどちらでもない」 「本当に申し訳ありませんでした」 怒りでも悲しみでもなく、単に事実を突きつけられていることは承知の上で詫びることしか出来ない黄龍に、銀龍は最後の質問をした。 「青二と黄二を連れ戻すことが出来るか?」 「青二は、他の男が入れない空間にいると聞きました。黄二は恐らく戦士の城にいるでしょう。そうなるとこちらからは……次に彼等から連絡があったら必ず――」 縋る黄龍に向かって無表情のまま首を振ると、銀龍はすっと右手を上げた。
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