第28章 王の裁き

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その夜から四郎は毎晩激しく五郎を求めるようになった。五郎はそんな四郎が益々愛しくなっていたが、このままでは狂ってしまうのではないかと心配もしていた。 黙々と文献を読む四郎に、五郎は提案した。 「村へ行ってみないか?」 「村?」 「戦いに備えて源三さんに武器を鍛え直して貰おう」 それを聞いた四郎は、笑顔になって頷いた。 「めっちゃええ考えや。はよ行こ。今すぐ行こ!」 しかし喜んで資料を片付け始めた時、廊下を駆ける足音が聞こえてきた。 「誰か帰って来た!」 四郎と五郎は驚いて見開いた目を合わせると、急いで廊下に出た。 剣を手にした少年が走ってくる。 「三郎……?」 「いや、あれは――」 「天使ちゃん!?」 現れたのは三郎ではなく、黄色い砂漠で会った黄龍の妻、山吹だった。 「黄二は何処?」 「わかりません。城の中だと思いますが我々には……」 役に立たない答えに眉を顰めると、山吹は壁に剣を突き立てて走り出した。 「ちょ、山吹ちゃん!」
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