第28章 王の裁き

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城が傷つけられると思った2人は慌てて止めようとしたが、よく見ると全く傷はついていない。 「あの剣、斬れへんのか?」 「とにかく追いかけよう」 あっという間に廊下の突き当たりを曲がってしまった山吹を急いで追いかけると、一郎の部屋に入って行くのが見えた。しかし部屋に入ってみると姿がない。 「隣の部屋の見間違いか?」 「そんなわけないやろ、戸開けっ放しやったし、シーツ乱れとる」 「確かにベッドに飛び乗って歩いた形跡があるな。しかしこの先何処へ行ったんだ?」 四郎はヘッドボードに面した壁をしばし眺めて閃いた。 「あの壁、抜けられるんちゃう?」 「そうか。あの子、剣持ってたな」 ならば自分は素手で抜けられるはずだと思い、五郎は壁に手を伸ばした。すると壁の向こうから剣が突き出てきた。 「うわっ!」 慌てて離れると、壁の中から山吹が飛び出してきた。 「あんた達も会議室に来いって」 「え、黄二さんが?」 「うん。何処?」 山吹を案内して会議室に入ると、黄二が独りで待っていた。
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