第28章 王の裁き

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「いや……」 薄くなるどころか、以前より深く濃くなったように見えると考えながら見ていた四郎はハッとした。 「龍や。龍が近くにおる!」 四郎が慌てて武器を取りに行こうとすると、黄二が止めた。 「いや、近くはない。俺の龍と、一番強い黄色い龍が外の餌場に出て来ただけだ」 「なんやそうかて……一番強い!?」 「ああ。一郎くんは会ったことがあるはずだ」 一郎が、黄色い国から逃げる時三郎が落とした剣で攻撃した龍を頭に思い浮かべると、黄二は軽く首を振った。 「君の攻撃が簡単に当たったのは、不意打ちだったからだ。まともに相対したら、とてつもなく強い。ただしまだ怪我は完全に治っていないし、外では本来の力を発揮するのは難しいはずだ。それに面識があるのは有利かもしれない」 「どういう意味です?」 「どうやら黄一は苦戦しているようだ。混乱に乗じて黄色い龍を手に入れてみてはどうだ? 金の龍と繋がる為の練習になるし、龍がいれば何かと便利だよ」 「ほう。どうすれば手に入るのですか?」 「肉を食べればいい。もちろん殺さずにね。正しい場所に手を入れて気持ち良く肉を取り出してやるんだ。ただし龍は人を選ぶ。嫌だと思えば抵抗してくる。まして君は戦士だ。倒す以上に難しいと思うが、やってみる価値はあるんじゃないかな」 「なるほど」 「お待ちください!」
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