第29章 新たな長

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「ただいま黄龍の城に入りました」 『全部上手く行ったのか?』 「はい。全て龍王様のご命令通りです。黒い男を送りましたが、保護していただけましたか?」 『ああ、受け取った。で……』 立体映像の黒龍は部屋を一周して他に誰もいないことを確認してから話を続けた。 『黒二は、黄龍が戻るまで黄色い国で暮らすのか?』 「そうですね。黄色い龍が完全に落ち着くまで離れるのは危険かと」 『そうか。黒百合はどうするんだ。あれは他の男の食事は嫌がるぞ』 「今後私は黄龍の子供達の肉を食べてやらなければなりません。体液への影響は避けられませんから、黒百合が私を受け入れるのは難しくなるでしょう。黒百合には誰かふさわしい男を紹介してやって下さい」 そう答えると、黒二は黒から黄色へ髪色を変えた。黒龍はまるで黄龍のような姿になった黒二に感心した後、思い切り寂しそうな顔をした。 『つれないなあ。でもまだ黒の方が濃いんだろ? そっちに黒二の相手を出来る貴人――ああ、あの可愛い戦士拾ったのか』 黒二は、ニヤリと笑って顔を覗き込んできた黒龍から目を逸らして答えた。 「あれは5人の中で唯一話が出来そうな戦士です。記憶を封印せずに調べてみようと思っています」 『そうか。落ち着いたら時々戻って来てくれよ。黒二がいないと俺も寂しい』 「はい。また連絡します」
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