第29章 新たな長

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「え、外……出てもいいんですか?」 「私は君を保護しただけで、監禁するつもりはない」 「はあ……」 しかし外に出たいわけではない。四郎は保護者だという黒二に、思い切って尋ねた。 「あの……先にここへ来た戦士達はどうしているかご存じですか?」 「百合と菊か。2人とも今は元気だ」 「今はて……」 「死にかけて助けられた。君と一緒に来たあの男と同じだ」 五郎と同じと聞いた四郎は、別人になって去って行った後ろ姿を思い出した。 「2人とも王都にある貴人の学校に通っている。2人は体の修復と同時にこの世界の基礎知識を植え付けられた。それを自力で身につけたいというなら、君はまだ入学出来ない」 次郎はともかく三郎が大人しく学校に通っているというなら、やはり別人になってしまったに違いないと四郎は項垂れた。 「俺は一体どうしたらええんや」 途方に暮れて呟いた四郎に、黒二は提案した。 「この黄色い国には人間を研究している施設がある。そこへ行ってみたらどうだ」 「人間の……研究?」 「情に訴えても龍王様の決断は揺らがない。人間界を救いたいなら、それなりの研究成果を上げることだ」 「俺に人間界がこちらに害を及ぼさなくなる方法を研究せえいうことですか?」
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