第29章 新たな長

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今からで間に合うのだろうかと四郎は戸惑ったが、黒二は表情を変えずに続けた。 「強要するわけではない。あくまで提案だ。その気がないなら――」 「や、やります! やらせて下さい!」 「そうか」 四郎が承諾すると、黒二は従者を呼び出し四郎を施設に案内するように伝えた。 「後のことは彼に聞け。任せたぞ」 従者が頭を下げて四郎を連れて出て行くと、黒二は施設の責任者に連絡した。 「例の戦士を1人そちらに預ける。サソリが送ってきた映像を見せてやれ。一番過激なやつで構わない」 『戦争の映像ですか?』 「ああ。ショックが大きすぎて手に負えなくなったら私を呼べ」 『承知しました』 通信を終えた黒二は、その映像を思い出し眉を顰めて呟いた。 「人間など救う価値はない」 救うべきはこの世界に生きる龍と龍人達。黒二は決意を胸に長の部屋へと戻って行った。
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