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今からで間に合うのだろうかと四郎は戸惑ったが、黒二は表情を変えずに続けた。
「強要するわけではない。あくまで提案だ。その気がないなら――」
「や、やります! やらせて下さい!」
「そうか」
四郎が承諾すると、黒二は従者を呼び出し四郎を施設に案内するように伝えた。
「後のことは彼に聞け。任せたぞ」
従者が頭を下げて四郎を連れて出て行くと、黒二は施設の責任者に連絡した。
「例の戦士を1人そちらに預ける。サソリが送ってきた映像を見せてやれ。一番過激なやつで構わない」
『戦争の映像ですか?』
「ああ。ショックが大きすぎて手に負えなくなったら私を呼べ」
『承知しました』
通信を終えた黒二は、その映像を思い出し眉を顰めて呟いた。
「人間など救う価値はない」
救うべきはこの世界に生きる龍と龍人達。黒二は決意を胸に長の部屋へと戻って行った。
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