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黄色い国の貴人、向日葵が手を上げた。
「質問ですか? どうぞ」
「質問というか……あの……それで大丈夫なのでしょうか。クリーム色だった空が、昨日から少し黒くなりました。世界の果てにそびえる壁がより高く、黒いものに変ったせいだと聞きました。このまま黄色い国がどんどん黒くなってしまうってことは……」
「それはありません。むしろ黄色い力を守る為の処置ですから」
「守るって……何からですか?」
「それは私からはお話出来ません」
答えを聞いた生徒達はざわついたが、蘭が手を叩くとすぐに静かになった。
「今回、すぐに混乱は収りましたが、今後またこのようなことが起こらないとは言い切れませんし、これは黄色い国に限った話でもありません。私があなた方にお話したいのは、そのような場合にどう行動したらよいかということです」
他人事ではないと言われた生徒達が不安な表情を浮かべると、蘭はにっこり笑って告げた。
「男の方の指示がある場合は従うのが原則ですが、不安になったらすぐに学校にいらっしゃい。ここの生徒ではない貴人達も一緒に連れて来てかまいません。ここは王都の中心です。世界で最も安全な場所です。休日でも誰か必ず待機していますから大丈夫ですよ。では、授業を始めましょう」
その後は通常通りの授業となり、生徒達ももう黄色い国で起きた事について話さなかった。しかし放課後、黒百合が帰ろうとすると三郎が話しかけてきた。
「ねえ黒百合って……」
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