第30章 黒い国

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「はい。黒二様が黄色い国で何をなさっているのか教えていただきたいです」 黒龍は頷いて言った。 「そうか。だが他の貴人は知りたくないかもしれないし、知らなくていい話だ」 「はい。他言はしません。菊も約束出来るよな?」 「はい」 黒龍は三郎に視線を戻して再び見つめた後、話し始めた。 「この世界の外に、龍のいない世界がある」 「龍がいない? 獣が頂点の生態系、ということですか?」 黒百合の質問に黒龍はしばし悩んでから答えた。 「うーんまあそうだな。平気で龍を殺す獣だ」 「龍を殺す? そんなに強いんですか?」 「体は小さいが、武器という特殊な道具を使いこなす。とても危険な生き物だ」 記憶を封印されている三郎は、まさか自分のことだとは思わず尋ねた。 「そいつらが黄色い国を襲ったのですか?」 「ああ。黄色い龍が奪われた。黒二が追い払ったが、奪われた龍に乗って再び黄色い国に侵入出来ないように、外壁を黒い力で守っている」 「それで黒二様が黄色い国の長になられたのですね。黄龍様もそいつ等にやられたのですか?」 「いや。黄龍は――」
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