227人が本棚に入れています
本棚に追加
三郎がソファに腰掛けると、黒百合は尋ねた。
「あれからまだ誰にもお茶会に誘われてないの?」
「うん。皆優しくて親切だけど仲良くはなれなくて」
「どうして?」
「話が合わないんだ。黒百合とは剣術の話が出来るけど、他の人達はそんなに剣術に興味ないだろ?」
「そうだね。男の人の話はしたくないの? 君だって男の人は好きだろう?」
「俺は赤二が好きなだけで男が好きなわけじゃ……」
そう答えながら自分がおかしな事を言っていると気づいた三郎は言葉に詰まった。貴人が男を好きなのは当たり前のことなのに何故か否定したくなったのだ。
「へえ。男の人はそんなに好きじゃないんだ。そうか、君は百合さんがタイプだったね。剣術も百合さんに認められたくて頑張ってるの?」
「そういうわけじゃ……」
三郎は百合の姿を思い浮かべた。冷たい表情しか見たことがないはずなのに、何故かそれは笑顔で、動揺してお茶を飲むと落ち着くどころか益々興奮してきた。
「俺、もう帰るよ」
「急にどうしたの。怒った?」
「いや、違うけど……」
「ならどうして? 本当に帰りたいの? もっとしたいことがあるんじゃない?」
そう言うと黒百合は立ち上がって制服を脱ぎ始めた。
最初のコメントを投稿しよう!