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すると別の部屋から返事が聞こえてきた。
「こっちだ。入れ」
扉が開けられた部屋へ行ってみると、中央に大きなベッドがあり、周りが半透明の黒いドームで覆われていた。黒龍はそのベッドの前に跪いている。
「菊も入ってよろしいでしょうか?」
「ああ、入れ。黒法師、黒百合がさっき話した友達を連れて来たよ」
「まあ……」
黒法師は黒龍に支えられてゆっくりと体を起こした。ドーム越しで更に顔はベールで覆われているので上半身のシルエットしか見えなかったが、限界までやせ細った姿に、黒百合も三郎も驚いた。
「菊さん、ウチの子を可愛がって下さったそうね。ありがとう」
「いえ、貴重な経験をさせていただきありがとうございました」
「黒百合もありがとう」
「こちらこそ抱かせていただきありがとうございました。本当に可愛らしい赤ちゃんですね」
それだけの会話でもうぐったりしてしまった妻をベッドに寝かせながら、黒龍は三郎に話しかけた。
「菊、帰るのか。土産は持ったか?」
三郎は黒龍から貰った宝石を手にして答えた。
「はい。今日は本当にありがとうございました」
「ああ。赤二によろしくな」
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