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「そう……戦いたい。俺は、戦ってこの世界を守りたい! 貴人には無理なのですか?」
カンナは熱く訴える三郎と見つめ合い暫し考えた後に答えた。
「そうね。もしかしたら……剣術を極めれば戦えるかもしれないわ」
「本当ですか!?」
三郎が興奮して立ち上がると同時に、部屋の外から声が聞こえた。
「すみません。菊がお邪魔していませんか?」
赤二だ。三郎が声を出す前にカンナは三郎の唇に指を押しつけ耳元で囁いた。
「心配させてしまうから、今の話は内緒よ」
三郎が黙って頷くと、カンナは部屋の入口を開けた。
「赤二さん、お帰りなさい。菊さんならここにいますよ」
赤二の姿が見えると、三郎は彼に駆け寄り抱きついた。赤二は三郎を優しく抱き留めて尋ねた。
「黒い国に行って来たんだって?」
もうばれているのかと三郎が驚いた顔をすると、カンナが赤二に問いかけた。
「ここに来る前に赤龍様にお会いになったのですか?」
「いえ、黒龍様から連絡を受けまして……」
正確には、全く別の要件で黒龍が黒二に連絡して来た時に、赤二が黒二と一緒にいるのを見て、黒龍が教えてくれたのだった。
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