第31章 密室の男達

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第31章 密室の男達

黄色い龍の背に乗って壁の外に逃げ出した後、一郎は異様な気配を感じて振り返った。すると黄土色の壁が見る間に黒く染まって行くのが見えた。 「閉め出されたみたいだな」 黄色い砂漠は境界の地にもあるから飢える心配はないだろうが、故郷を追われて独りぼっちになってしまった龍を気の毒に思って呼びかけても、龍は答えなかった。独りぼっちは一郎も同じだ。次郎と三郎だけでなく、四郎と五郎も壁の向こう側に連れて行かれたに違いない。 「さて……どうするかな」 頼みの綱は青二だが、何処にいるのかわからない。しかし悩んでいるのは一郎だけで、龍の方はもう行き先を決めているようだった。 「城に向かっているのか? おまえ、どうして――」 龍はやはり城の前に降り立った。すると頭の中に直接呼びかける声が聞こえてきた。 『あの部屋まで自分で行ける?』 黄二だ。もしやと思って首に触れるといつの間にか細い首輪を付けられていた。 「はい」 銀龍の元に行ったはずの黄二に従っていいのか疑問だったが、逆らっても意味がないので言われるままに龍の肉を食べた部屋に行くと、続けて指示があった。 『黄色と白の爪を出して肩と同じ高さに腕を伸ばして壁を探ってごらん』 言われた通りにすると、クリーム色の部屋に出た。足元の少し先に金色のプレートがある。それを見詰めているとまた指示があった。 『そう、それ。その前に跪いて。そう。じゃあちょっと体貸して貰うよ』
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