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金龍は奉仕を始めた一郎の頭を掴んで記憶を読み取った。そして彼が戦う理由を知った。
「なるほど。極めて人間的な理由だな。だがこれっぽっちじゃ金龍にはなれない」
「これっぽっちだと?」
「ああ。もっと大きな意志が必要だ。欲に塗れてたって構わない。捨てちまえよ、人間の常識なんて。欲しいもの全て思い浮かべてみろ」
一郎は、人間界に残してきた家族の顔と龍人界に捕らえられてしまった仲間の顔を思い浮かべた。誰ひとり失いたくない。全員この手で助けたい。そして彼等と自分の故郷である人間界も救いたい。しかし金龍はまた首を振った。
「ダメだ、ダメだ、それじゃさっきと大して変わらない。俺をよく見て考えてみろ。この姿になって、おまえは何をするんだ」
一郎は、口づけたくてたまらない目の前の美しく逞しい男の顔を見詰めながら、自分ではなく金龍の気持ちになって彼が今蘇ったら何をするだろうと考えてみた。そしてようやく気付いた。
「そうか……金龍になるということは……」
金龍は、戸惑う一郎を見詰めながら裸になると、床を変形させて作り出した椅子にゆったりと腰掛けて命じた。
「覚悟が出来たら俺の上に座っていいぞ」
幻の匂いで誘う男性器をそそり立たせた金龍を目の前にして、求めずにはいられない。一郎は金龍の期待に応える覚悟を決めて彼の上に腰を落とした。
「ああっ――!」
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