第31章 密室の男達

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「やはり金の園には金龍と青二、そして彼らに招かれた客しか入れそうにないな」 金龍が描いた転送紋の検証を終えた銀龍が、黄二を見下ろしながら呟いた。一郎から流れ込む金龍に抱かれる感覚は消えても、実際に黄龍に抱かれてしまっている快感は消えない。黄二は、目を閉じることも許されず銀龍の目の前で喘ぎ続けている。その姿を眺めながら、銀龍は黄龍には聞かれないように黄二の頭の中に直接話しかけた。 『黄二、驚いたよ、あんな昔のことを私はまだ根に持っていたようだ。おまえも少しはわかってくれたか? あの時の私の屈辱を』 黄二がまだ教師だった銀龍を店に連れて行き、男に犯され続ける彼を放置して去ったあの日のことだ。そんなつもりではなかったし、金龍を制する力はなくどうしようもなかったとはいえ、裏切ったことに変わりは無い。その全ての元凶である金龍を思いながら黄二が上り詰めると、黄龍もそれに合わせて興奮を収めた。 黄龍の死は、黄二を呼び戻す為、そして外で起こっていることを知らせずに黄色い国の人々と龍が納得する形で黒二を黄色い国の長に据える為に偽装されたものだった。黄龍自身に死の恐怖を感じさせた上で隔離空間に転送させて気配を完全に絶っただけで、銀龍はまだ黄龍を生かしていた。 「このままここで桜を見張れ。それから……」 話しながら銀龍が描いた転送紋の中から山吹が現れた。山吹は黄龍の姿を見ると彼に駆け寄り抱きついて泣き出した。 「退屈でもいいからおまえと一緒にいたいそうだ。友達になれる貴人を呼んでやるといい。いや、呼べ。青二と共にな。黄色い国の城を経由して彼等もここに収監する。黄龍、おまえの仕事は黄二と青二の監視だ」 銀龍は没収して解析を済ませ機能を制限した通信機器を黄龍に返しながらそう告げると姿を消した。それを見送ると、黄龍は背を向けて服を着ている黄二に声を掛けた。 「大丈夫……ですか?」 「あ……はい。なんか……ごめんね」 「いえ、こちらこそ……すみませんでした」
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