227人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当に、すみません」
違うと言う代わりに首を振り、再びため息をつきながら、青龍は青二を抱き寄せた。
『消されてもおかしくないと覚悟していた。銀龍様のお慈悲に感謝しろ。すぐに青い龍の肉を送る。他に欲しいものはないか?』
「いいえ、それだけで十分です。お兄様……」
叱られると思っていた兄に優しい言葉をかけられた青二がその胸に縋ると、青龍は弟の頭を撫でながら黄龍と黄二に話しかけた。
『お2人にも言いたいことは色々ありますが、あなた方も大変な思いをなさったでしょうから、1つだけにします。青二が無事私の国に戻れるまでよろしくお願いします』
2人が返事をする前に、青龍は姿を消した。それを呆然と見送った後、黄二は言った。
「相変わらずクールだねえ、青龍くんは。赤龍くんだったら殴り飛ばされてたよ」
「お兄様も先生の教え子なんですか?」
兄と言っても同じ女が生んだ最初の子である青龍と最後の子である青二の年齢差は、異母ではなく両親共に同じ兄弟としては珍しく100歳以上だ。青二は飛び級も留年もなく順当に15年間学生生活を送ったが、各国の幹部が持ち回りで任に付くことが多い教師達はその間に大半入れ替わった。だから黄二が教師だったのも自分達の世代だけだと思っていた青二は驚いた。
「ああ、俺は知識だけが取り柄の独身の代わり者だから、君達が生まれるずっと前に国を出て王都で教職に就いていたんだ。前校長が引退なさる時に、君もそろそろ教職を離れたらどうだと言われて、それもそうだと思うまで学校にいたから今の幹部の大半は教え子だよ」
「黒龍様も?」
黒龍は青龍より更に年上だが、黄二は印象的な生徒の名に大きく頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!