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「黄色と青は既にありますから、後は赤と黒、そして白です。赤と黒は赤二の龍の為ということで赤龍様と黒龍様に話をつけましたが、白についてはいかがいたしましょう」
「白龍から人間界に送り込む為に最適な新種を生み出すことに成功したが白い国の餌場での増殖は難しいと相談を受けているから、外の餌場を復活させる許可を出しましょう。ただ、その場合白龍自ら動くとは……少々質の低い餌場になっても――」
「いえ、正当な理由さえあれば心配ありません」
2人が内密に進めようとしているのは、境界の地に全色の餌場を造り、5色の力を持つ黒二の龍を更に進化させる計画だ。それは前代未聞の挑戦で、計り知れないリスクがあるが、それに賭けてみるしかないと2人で決めた。
「黄二を通して桜が接触している金の龍を感じることは出来ましたか?」
「ええ。油断は出来ませんが、あの龍は問題ないと思います」
「ならばむしろしっかり育てさせるべきですね」
「そうですね。子供は不安定ですから、早く立派な金の龍に育ててしまった方がいいでしょう」
「はい。後のことはどうぞ私にお任せ下さい」
銀龍は頷いたが、そのまま視線を落として俯いてしまった。その憂いを帯びた美しい顔を見詰めていた黒二は、彼がまだ白い男だった頃を思い出して尋ねた。
「ところで……金龍様はどうでした?」
「え?」
紫の瞳を揺らして顔を上げた銀龍に、黒二は告白した。
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