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四郎は急いで龍の喉に斧を沈めた。すると上空で、龍は消えた。
「わーっ!」
「四郎!」
落下の衝撃は龍の攻撃とは違う。しかし三郎と四郎にはどうすることも出来ない。
とその時、金色の帯のような光が飛び出してきて四郎の体を受け止めた。
「わわっ、なんやこれ、滑り台?」
四郎は、斜めに傾いた光の帯を滑り下りて無事着地すると光の正体を確認しようと振り返ったが、もう消えてしまっていた。とにかく龍は倒したし助かった四郎はすぐに場外に出て、その後二匹目の灰色の龍を倒した三郎も場外へ出た。
「なあ、さっき俺助けたの何やった?」
「さあ。眩しくてよく見えなかった」
「ふーん。救助システムがあるのやろか。はー、アカンな。本番やったら3回くらい死んどるわ」
それは三郎も一緒だ。攻撃の痛みは、体の芯にまで届いた。あれが実際肉を切り裂いていたら、とっくに死んでいるに違いない。また己の無力さを思い知った三郎は、唇を噛みしめた。
「あー疲れた。水飲んでくるわ。三郎は?」
「俺はいい」
四郎は行ってしまったが、三郎は場外に立ったまま休むことにした。
不思議な場所だ。
一体ここにどれだけの龍の残像がいるのかわからないが、三郎も四郎も場外に出てしまった今は何の気配もない。
(戦士が入らなければ、何も出て来ないのか?)
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