第31章 密室の男達

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金龍は掴んだ手にも見詰める目にも力を込めたが、黒二は裸でスッと立ったまま瞳さえ揺らさずに黙っていた。 『お前、本当はもっと強いだろ。なあ、俺と戦ってみないか?』 黒二はお許し下さいと答えたが、金龍は爪を刃に変えて突きつけてきた。それでも黒二が動かずにいると、金龍は刃を白い胸に滑らせた。深紅の血が流れ出しても黒二は呻くことすらなく、傷はやがて塞がった。 『大したもんだな。じゃあ……ここはどうだ? こいつを勃たせて切り落としてみるか?』 金龍は刃を爪に戻して黒二の男性器を握り締め、擦り始めた。黒二は相変わらず無表情だったが、更に後ろに手が伸びて来ると僅かに眉を顰めた。すると金龍は黒二の尻をポンと叩いて手を離した。 『やっと感情見せたな。うわー嫌だ面倒くせえってか。龍王相手に失礼だなお前。でもわかったよ、お前が銀の男になれない理由が。単純にやる気がないんだろ? 昔の俺は本気だった。龍に怯える無力な人間をやめて龍を支配する王になりたいと強く願っていた。だけどお前は、龍王なんて冗談じゃないと思っている。大正解だよ』 そう言って笑った後、金龍は囁いた。 『悪かったな。年寄りには無理だよな。もっと若くて生きの良い奴にする。純真で敏感で虐め甲斐のある若い男を奮い立たせてやるよ』 王を継ぐ者は通常若く、その道が険しいのは当たり前のことではあるが、金龍が通常とは違う形でターゲットにした若者を追い立てるであろうことを懸念した黒二は、解放されて国に戻ると黒龍にそのことを伝えた。
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