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「それは全ての色が1等の男をイメージする名前です。私には大きすぎる」
「全てが1等というのはあまりに非現実的でしょう」
混色の男のほとんどは2等の男だ。3等以下の体では消化吸収が難しく、1等の男は消化出来ても生まれつきの色とは違う色が定着するのはごく僅かだからだ。
既に龍王に匹敵する力を有するというのに謙虚な姿勢を崩さない黒二に、銀龍は命じた。
「では黒黄龍になさい。その方が黄色い国の長に相応しい」
「御意に。ではそろそろ国に戻らせていただきます」
そして黒二改め黒黄龍は黄色い国へ帰って行った。
彼を見送ると銀龍も密室から出て、外で待機していた従者に声を掛けた。
「しばらく眠る」
「はい。どちらでご就寝なさいますか?」
「自室――いや、椿の部屋にする」
「承知いたしました」
歩いて部屋に向かう途中で黄二につけた首輪から再び淫らな感覚が流れ込んできた。食事を終えた男達が乱交を始めたらしい。
山吹と紫陽花に混色の龍を産んで貰いたいというのも彼等を集めて隔離した理由の1つではあるが、あまり頻繁では煩わしい。
(桜の監視以外の仕事を与えないといけないな……)
でもそれは後だ。黒黄龍の手前平静を保っていたが、もう限界だ。黄龍を捕らえてから一睡もしていないし、椿や百合との食事も短時間で済ませてきた。
久しぶりに誰かとゆっくり肌を合わせ、心地良い疲労で眠りに落ちたい
今なら相手は誰でもいいような気がするが、だからこそ最も愛する椿を選び、銀龍は彼の元へ急いだ。
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