第32章 麗しく芳しき妻達

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四郎は、岩屋を割ったのは金の龍に違いないと納得したが、金の龍や青二と光のことは話すべきではないだろうと思って話を変えた。 「その人間界に行った女性職員さんはこちらの世界に不満があったわけやないんですか? ここの女性達は一体どんな暮らしをされてるのでしょう?」 「女性に興味があるのですか?」 「はい、それはもう大いに」 「そうですか。でしたら女性が暮らす集落に行ってみますか?」 「えっ、はい、行きます!」 四郎が喜んで返事をすると、早速女性職員が案内してくれた。 「こちらのゲートにお入りください」 エレベーターホールのように並んだ転送ゲートの1つをくぐり抜けると、そこは広大な果樹園だった。 「うわっ、果物や。懐かしい」 柑橘系の甘い香りを胸一杯に吸い込んだ四郎に、彼女は尋ねた。 「召し上がりますか?」 「俺が食べても大丈夫ですか?」 「はい。一度に大量に召し上がらない限り問題ないはずです。お好きなものをどうぞ」 果樹にはいくつか種類があるが、どれも柑橘系に見える。四郎は目に付いた果実を手に取り皮を剥こうとしたが、女性がそのまま食べ始めたのを真似て囓ってみた。 「うわ、めっちゃ美味!」
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