第5章 興奮する体

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しばらくして退屈した三郎は、独り足を踏み入れた。現れたのは、また灰色の龍2匹だった。 「チッ」 三郎は、クジで外れを引き続けているような苛立ちに舌打ちしたが、考えてみれば先程の勝負は勝ったとは言えない。実戦だったら負けている。三郎は戦いに集中した。そして今度は、実戦だったとしても掠り傷程度のダメージで倒すことが出来た。 ホッとした三郎の耳に拍手が聞こえた。振り返るとそこに四郎、そして五郎もいた。 「大分進歩したじゃないか。筋がいいな、三郎」 戦わない五郎に褒められても真に受けられない。三郎は不機嫌な表情で五郎に尋ねた。 「あの2人も帰って来たの?」 「ああ。こっちへ来い」 五郎は2人を広間へ連れて行った。 そこには中央に大きな円卓があり、一郎と次郎は並んで座っていた。 「悔しいけど、ようお似合いで」 四郎はそう呟いた後、大きな声で2人に挨拶した。 「お帰りなさいませ。赤い谷はどうでした?」 笑顔で声を掛けた四郎と目が合うと、一郎は無言で刀を掴んだ。四郎は思わず五郎の後ろに隠れたが、一郎は刀を真っ直ぐ立てて円卓を刀の柄で叩いた。すると円卓の上に立体映像が浮かび上がった。 「うわっ、なんやこれ!」 四郎は円卓に駆け寄った。真っ赤な草花の上をショウジョウバエのような生き物が飛び回っている。四郎が手を伸すと、それは指をすり抜けた。赤い谷の立体映像だ。三郎も興味を持ったが、入り口に立ったまま尋ねた。
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