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青い国で緑の男達に襲われたことを思い出して四郎が身震いすると女性はクスリと笑った。
「ではお目覚めになられたら迎えに参ります。どうぞごゆっくりお休みなさいませ」
「ああ、ありがとな、お休……」
女性は挨拶をキスで遮った後、照れたように微笑んで部屋から出て行った。
「うわ、何今の。惚れるわ」
と呟いて心地良い眠りについたものの、朝起きて外に出た四郎は、部屋の外にいた複数の女性の中から昨日の女性を見分けることは出来なかった。髪や目の色は若干違うのだが、体型はほぼ一緒で全員同じ様に可愛らしい。
「おはようございます」
一斉に挨拶してきたが声もほとんど同じだ。
「おはよう」
誰を見たらいいのかわからず漠然と女性達を眺めていると、昨日の女性が歩み出てきて果樹園に案内してくれた。果実を食べながら、四郎はこの世界について彼女に教えて貰った。
「なあ、この光って銀の草原から来るのやろ? どうして明るくなったり暗くなったりするんや?」
「草原が目覚めると朝になり、眠ると夜になります」
「草原が目覚めるて……そこに住む生き物たちが目覚めるいうこと?」
「いえ、草原自体が目覚めるのです。王が替わる度に王の龍の餌場も生まれ変わりますが、場所は変わりません。あの地に蓄積された巨大なエネルギーが一定の間隔で放出されて草原を目覚めさせ、眠らせるのです」
「ほな今の王様が境界の地に造られた銀の草原は――」
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