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目の前に白い建物が浮かび上がり、黒黄龍が指を動かすと中に入った。サイズも見た目も人形の様な少年達が行儀良く並んで座っている。
「貴人さん達の……学校?」
「ああ。よく見てみるといい」
そう言われて拡大して見せられても、その赤い髪の貴人が誰なのか四郎にはわからなかった。
「見るだけではわからないか」
彼が調度手を挙げて何か質問しようとしたので、黒黄龍は映像に音声を追加した。その声を聞いてようやく四郎は叫んだ。
「三郎?」
黒黄龍がわざわざ見せているのだし間違いないと思うが、四郎は信じられずに語尾を上げてしまった。
「嘘や、あの三郎がこんなお上品な集団に溶け込むやなんて……」
「若干問題児ではあるようだがな。こちらは優等生らしい」
別の教室に飛んで服を作っている生徒の1人にズームされると、今度はすぐに誰だかわかった。
「次郎ちゃん! 良かった、助かったんや。それにめっちゃ綺麗になっとる。流石や」
「菊と同じクラスにならないように特別早く進級させたが問題なく授業について行けているそうだから、大したものだな。改めて彼等と出会うには、君も彼等のように特別な男と生活するしかない」
そう説明しながら、黒黄龍は映像を大きく移動させ黒い国の灰色の沼をズームした。沼のほとりで1人の黒い男を別の男達が囲んでいる。囲まれている男の顔をよく見て面影を発見した四郎は叫んだ。
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