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そして光に入った5人は生け垣に囲まれた場所に転送され、武器をかざして生け垣を抜けると城の庭に出た。一郎は、五郎にすぐ身を清めに行くよう促すと、他の戦士達に指示した。
「明日出直す。体を休めておけ。それと……あれだけ赤い水を浴びた五郎が正気でいられるとは思えない。交代で面倒を見てやれ」
「正気でいられなくなるって、どうなるの?」
相変わらずタメ口で一郎に問い掛ける三郎に、次郎が答えた。
「あなたも浴びてみれば良かったのに」
次郎は上から三郎を睨み付けた後、フッと笑って耳元に顔を近づけ囁いた。
「苦しくて独りでは眠れなくなるのです。あなたの責任ですから、あなたお一人で、しっかり面倒をみて上げて下さい」
そう言うと、次郎は、もう歩き出していた一郎を追って部屋へ戻って行った。
「次郎ちゃん、なんて?」
「五郎、眠れない程苦しくなるかもって。面倒見ろって言われても、どうすりゃいいんだよ」
「せやなあ。まあ頭冷やしたり水飲ませたりしてやったらええんちゃう? 俺隣の部屋やし、とりあえず様子見とくわ。つきっきりになるようやったら交代な」
「――ありがとう」
「へ?」
三郎らしくない素直な返事に、四郎は驚いた。
「三郎、おまえ大丈夫か? 落ち込んどるのか?」
四郎は、答えずに黙っている三郎の髪をクシャっと掴んだ。
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