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「俺は、あそこで前に出られたのは立派や思う。井戸の木いう化け物倒すには、おまえの太い剣は不向きだっただけや」
四郎はそう慰めたが、三郎は四郎の手を払い、首を振った。
「それは違うよ。腕のいい剣の戦士なら、助けを借りなくても急所まで剣を突き刺して、赤い水が降りかかって来る前に逃げられたに違いない」
「そりゃそうやけど、焦ったってしゃあないやろ。自分はまだまだや。そうわかってれば、ええんちゃう?」
四郎は部屋に戻ったが、三郎は訓練場に向かった。するとそこに一郎がいた。
「本当に言うことを聞かない奴だな。体を休めろと言った筈だが?」
「俺、疲れてない」
「ああ、そうか。井戸の木と戦ったのは五郎だったな」
一郎はそう言うと、訓練場に向かって何か呪文を唱えた。
「1時間だけ解放してやる。龍を倒すことより剣を使いこなすことを考えて戦ってみろ」
「2時間にしてよ」
「1時間だ。後は五郎の面倒を見てやれ」
一郎は行ってしまった。許されたのは、たった1時間。三郎は、急いで訓練場に入った。
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