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一方、部屋に戻っていた四郎は、五郎が隣の部屋に戻った気配を感じて声を掛けた。
「五郎ちゃん大丈夫か?」
大丈夫だという答えを期待しての呼びかけだったが、返ってきたのは苦しそうな声だった。
「ダメだ……四郎、こっちへ来てくれ」
四郎は慌てて五郎の部屋に入った。五郎は布団の上に座っていた。顔は赤く、息遣いは荒い。
「わかった、熱いんやな」
四郎は、体を冷やす水を汲みに行こうとしたが、腕をつかまれた。
「そうじゃない」
「へ?」
四郎はそのまま五郎に抱き寄せられた。やはり五郎の体は熱を持っている。
「そうやないって、な――え?」
五郎は四郎を押し倒して着物の襟を開け、自分も着物を脱いだ。四郎は自分に迫っている危機に気付く前に、五郎の胸に目を留めた。
「五郎ちゃんのマーク、そんなんやったっけ?」
胸に刻まれた十字は茶色く薄れ、それに絡まるように伸びた蔓に赤い薔薇の花が咲いていた。
「四郎、聞いてないのか? 俺たちの体は性的に興奮すると花が咲く」
「聞いてへん。てか性的にて五郎ちゃん……?」
「ああ。おまえが欲しい」
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