第5章 興奮する体

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その1時間前、三郎に訓練場を解放した後、一郎は次郎の部屋に直行していた。 一郎は五郎のように井戸の木から直接赤い水を浴びたわけではないが、それをたっぷり吸って育った獣の返り血は浴び、それが戦闘中に負った傷口に浸透してしまった。お陰で傷は五郎の世話にならずに完治しつつあるが、どうしようもなく気持ちが高ぶっていた一郎は、部屋に入るなり次郎を押し倒し性急に事を進めた。 「一郎様、お待ち下さい、まだ――」 「許せ」 たった一度の口付けで前戯を済まされ、次郎は強引に体を開かれた。 次郎は昨日、触手のように伸びてきた赤い木の枝に絡まれ、強制的に赤い水を飲まされた。すぐに一郎が助けてくれたので大した量ではなかったが、それでも呆れる程に体が興奮してしまい、もういいだろうという一郎に、ねだり続けてしまった。 今日はその逆だ。許せと言われて拒む権利はない。前から、そして後ろから、たっぷり2時間、一郎は次郎の奥を突き上げ続けた。 「はあ……。赤い水にこれ程人を狂わせる力があるとはな。すまなかったな、次郎。大丈夫か?」 「いえ……お役に立てて光栄です」 労をねぎらうように抱き寄せられた腕に凭れてうっとりしながら、次郎は尋ねた。 「五郎はどうしたでしょう。三郎に相手が勤まるでしょうか」 三郎を助けて戦っていた五郎の体には、多くの掠り傷があった。一郎や次郎の比ではない量の赤い水が体にしみこんだに違いない。 「様子を見てくる。おまえはもう休んでいいぞ」 一郎は次郎を残して独り五郎の部屋に向かった。荒い息と激しい水音、そして苦しげな喘ぎ声が部屋の外にまで聞こえてくる。抱かれている側が心配になった一郎は、声を掛けずにいきなり戸を開けた。
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