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第6章 もっと強く
三郎は夢を見た。
見た事もない生き物と必死に戦い続け、やっと全て倒して顔を上げると、さらわれた幼なじみの光が立っていた。
『無事で良かった、さあ帰ろう』
三郎は笑顔で光に手を差し出したが、光は三郎の手を取らなかった。
『三郎、ごめんね』
光は三郎に背を向けて去って行く。
『おい、待てよ光、なんでだよ、何処へ行くんだよ!』
三郎は光を追いかけたが、全然追いつかず、やがて光の姿は消えてしまった。
すると背後から自分を呼ぶ声が聞こえた。
『三郎』
三郎はゆっくり振り返った。
「三郎」
自分の部屋の布団の上で、三郎は目覚めた。美しい白い顔が自分を覗き込んでいる。
(光……?)
「やっと目覚めたか」
おかしなイントネーション。美しい顔の主は四郎だった。
「なんだ、四郎か……」
「なんだはないやろ。まあおまえらしくて安心したわ。具合はどうや?」
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