第6章 もっと強く

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「それぞれの場所に立て」 全員己の武器の印の前に立つと、一郎は印の上に刀を立てた。 「一斉に刻印を武器で突け。五郎」 武器のない五郎の掛け声で、4人の戦士がそれぞれの印に武器を突き立てたると、石が光り始めた。光はどんどん強くなる。三郎はまぶしさに顔を背けたが、その瞬間に爆発するように光が石の外へと広がった。その光の波はたちまち谷全体を覆った。そしてドンと鈍い音が地を震わせると、広がった光は一気に収縮し、その光を吸い込んだように武器が光り始めて熱くなった。 「アチッ!」 「放すな!」 そう言われても反射的に放してしまいそうになる。手が焼けるように痛い。 「無理無理、もう堪忍――あ、終わった?」 光を全て吸収した武器は、刺していた石から押し出された。それは以前より赤みを帯びた輝きを放ち、一回り大きくなっていた。 「うわっ、変わった」 「赤い谷の力を吸収した。強度と攻撃力が上がったはずだ」 変わったのは武器だけではなかった。 石の台に刻まれていた武器の印は消え、代わりに見覚えのある大きな印が刻まれていた。 「これって――」
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