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「ああ。城と通じている。封印が効いている間は龍も龍人もこの地に入ることは出来ない。これからは敵と遭遇する心配なく自由に行き来できる」
つまり近道が出来たということらしい。
そして視界を妨げる動植物が消えた谷の向こうに、沼が見える。
「あれが灰色の沼?」
「そうだ」
三郎は赤く輝く己の剣を見た。早くこれを使ってみたい。
でも一郎達は沼で戦って帰って来たばかりだ。独りで行くと言えば止められるだろうし、流石に知らない場所に独りで行く勇気はなかった。
一郎は、そんな三郎をじっと見詰め、声をかけた。
「三郎、行ってみるか?」
「え……」
聞かれた三郎も、他の戦士達も驚いて一郎を見た。
「お前達は戻って明日に備えろ。三郎、行くぞ」
「う、うん……」
三郎は、谷を下り始めた一郎を追いかけていった。
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