第1章 火照る体

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痛むのは上腕の外側だ。暗いし自分ではよく見えない。三郎は転がるように家の中に入り、鏡に腕を映してみた。 「――え?」 それを見た三郎は、驚いて一瞬痛みを忘れた。鏡に映し出されたのは傷でも痣でもなく、くっきりと赤く刻まれた絵だった。見ている間に更に新たな赤い線が走り、その絵は完成された。 剣に巻き付いた龍。 いや、よくみると剣は龍を貫いている。 剣に串刺しにされた龍というのが正しいようだ。 「何これ……」 まだ腕に痛みは残っているが、絵が完成すると同時に耐え難い程の鋭さではなくなった。三郎が母を振り返ると、母は呆然と庭に立ち尽くしたままだった。 「母さん、大丈夫?」 母は我に返ったように三郎と目を合わせたが、すぐに俯いてしまって呟いた。 「本当だったのね……」 諦めたようにため息をつくと、母は部屋に入ってきて三郎の前に座った。 「何のこと? 母さん、これが何だか知ってるの?」 腕を突き出し問う三郎に、母は答えた。 「戦士の証。そう聞いたわ」 「戦士? 聞いたって誰に?」 「あなたのお祖母様からよ」
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