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一郎は、機嫌を損ねて視線を逸らした次郎の顎を引き寄せ、宥めるように口付けてから尋ねた。
「さっき三郎に何をしてやった?」
三郎の名を出された次郎は、不機嫌な顔に戻って答えた。
「体のことを教えただけです。五郎は、あの子を抱かなかったようですね」
「ああ。あいつは四郎がタイプらしい」
「そうでしたか。ではあの敏感な体は――」
一郎様が最初に味わうのですかと言いかけて口を閉じて俯いた次郎の長く美しい睫毛が少し震えているのに気づくと、一郎は次郎の印に手を伸し、ゆっくりと撫でて花を咲かせた。その百合の花を眺めながら、一郎は三郎の全身に咲き誇っていた菊の花を思い出していた。戦士の印は、体の粘膜ではなく皮膚に覆われた部分の中で最も敏感な場所に刻まれる。だから三郎の印が腕に刻まれているのが不思議だった。次郎の女ではなく男の部分を愛撫しながら、一郎は囁いた。
「たまにはおまえも、こっちを使ってみたらどうだ。あいつは恐らく全身性感帯だ。面白いほど感じて見せてくれるだろう」
「私が三郎を……?」
「ああ。おまえは女に傾き過ぎている」
「一郎様……」
私を女にしているのは、あなたではないですかという抗議を阻止するように、一郎は次郎の唇を塞いだが、次郎が言えなかった言葉は違った。
いつものように女にされながら、次郎はいっそ完全に女になってしまいたいと願っていた。男として戦い続けるという条件でしか一郎の女でいられない身を愁いながら、次郎は一郎の唇がすぐに離れてしまわないように一郎の首に抱きつき自ら舌を絡めた。舌の動きが段々激しくなり、次郎の手が背中に回ると、一郎は次郎の頬を両手で包んで唇を離して問いかけた。
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