第6章 もっと強く

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「はい」 「赤の拠点への転送紋って?」 「一瞬で赤い谷跡地に行ける光の印のことやろ。城への入り口を開きっぱなしってわけにはいかんから」 「ふーん」 昨日一郎に落ちたら命がないと言われた時には、三郎は自分のミスで落ちることしか想像しなかったが、引き込まれる危険もあるならより注意が必要だ。しかし沼は静かだったし、あんな場所で力のある大きな生き物が育つとは思えず、三郎は半信半疑で頷いた。 そして沼に到着すると、一郎は戦士4人を一列に並べ、少し離れた場所に五郎を待機させた。 「四郎、打ってみろ」 「はい……」 四郎は自信なさそうに斧を構え深呼吸すると、ほんの少しだけ振り下ろした。すると小さな光の球がやや左に逸れながら沼に飛んで行った。 球が落ちたのは沼の縁ギリギリだったが、大きく沼を揺らし、一瞬の後かなりの大物を含む生き物が数匹跳ね上がって来た。それが全て砕け散るのを見た三郎は、この技でも自分が最下位であることを知って落胆した。 「なんだ、四郎出来るじゃん」 しかし四郎は首を振った。 「あかんわ。あんな角度で飛んでったら、他の人の球とぶつかりまくる。うっかり跳ね返ってくる球避けながらじゃ集中して仕事出来んやろ」 すると次郎が言った。 「大丈夫ですよ。私と一郎様はもっと上から落としますから、ぶつかったとしてもそのまま一緒に沼に落ちます。ただ――」
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