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薙《なぎ》
妹の姿があった。ただ普通ではない。白を基調としたドレスのような戦闘着を纏い、その右手には刀を持っていた。確かにここは自分の部屋で、さっきまで朝だったソラは緋色の夕焼け、それに加え車の騒音や人の声が聞こえない。そとを見るとそこは明らかに違う町で、道路はレンガ造りで舗装され、建物は石を題材とした木組みの町。近くには大きな広場もあった。
おれはこの状況に戸惑いを感じた。すると妹はおれに話しかけてきた。
「気づいた?」
重い身体を持ち上げ、妹より少し高い視線をつくった。
「ああ。けど、いったい何が起きているんだ?」
すると妹はまるで別次元の様なことをことばしった。
「人口削除、薙と呼ばれる現象だよ。この世界は人だけが増えている。だから文明が滅びないようにある程度の人口を保つために起こる現象なんだ。」
たぶんこれは夢だと、そのときは思うことにした。が、どうもいい夢ではないようだ。
「つまりどうなるんだ?」
すると口惜しげに難しい説明をする。
「この世界には3人しかいなかった。そして、元の世界に戻れるのはひとりだけなんだ。」
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