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秋晴れの青
三方を山に囲まれたこの地。
十月のいまは、山の木々も少しずつ緑から黄色へと色付き始める頃。
ここはそんな田舎の、木造の古びた駅舎から村を繋ぐ一本道の途中にある小さな食堂。
おにぎり食堂「そよかぜ」と書かれた立て看板は、このお店で働いてくださる松本葉子さんの手作りです。
今のデザインは、おにぎりとお味噌汁、そしてお昼寝する看板娘のぽんすけが描かれている可愛らしいもの。
その看板の脇では、秋晴れの空の下、いかにも幸せですと言わんばかりの笑顔を浮かべてうたた寝するぽんすけがいます。
コンロの上でぐつぐつと音を立てるのは、土鍋のごはん。
その隣のお鍋にお味噌を溶き入れると、ふうわりと立ち上る田舎味噌の良い香り。
二階の扉が開く音がしましたね。
廊下を歩いて――葉子さんが降りていらっしゃいましたよ。
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