第1章 バーでの出会い

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仕事が終わり、会社の同僚たちが次々と帰って行く。 部長がまだ仕事をしているから、私も軽く残業する。 この一年で何となく気づいた、空気を読む力。 最後の同僚が、部長に『お疲れ様です。』って言って帰って後、しばらくして部長はパソコンを閉じた。 どうやら、私と二人きりになるのを、待っていたらしい。 「倉本、仕事終わったか?」 「あっ、はい。」 例の話の件かと思い、私は立ち上がって、部長の席へ向かおうとした。 でも部長も一緒に、立ち上がる。 「ここで話すのもなんだから、外で飲みながら話そうか。」 「……はい。」 何の話だろうと思いながら、私もパソコンをシャットダウンする。 「何か、食べたい物あるか?」 「えっ?」 いつもは厳しい部長が、優しい顔してる。 何か、気が狂う。 「いえ……特には……」 「そっか。俺のおすすめの店でいいか?」 「はい?」
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