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僕が住んでるのは山の中だから、勤め先の温泉までは、車で30分ぐらいかかる。この気温だと道が凍ってるかもしれない。時間に余裕を見ておかなくちゃ。
カフェのバイト、なんて、正直言って軽く考えていたんだ。
本当なら、今頃は教員採用試験に受かって、中学校の教師になっていたはずだから。
中学校勤務の重い責任と厳しさにくらべたら、カフェでチョコッと手伝うくらい、半分遊びに行くようなものだろうって。
「8時までに出勤してください。ほとんどの人は7時半には来てるみたいですので、よろしくね!」
カフェに採用決定の後、採用責任者の社長さんから言われる。社長は30代ぐらいのスレンダーな男性だ。
温泉旅館の跡継ぎで今の経営者、つまり若旦那で、このカフェのオーナーでもあるという。
出勤時間を聞いた時、少し焦った。
大学生活の延長で、そんなに早い時間から行動することなんて、ほとんどなくなってる。それですっかり夜更かしの習慣が身に着いちゃってるし。
一体何時に起きれば、7時半に出勤できるんだ?
というわけで、5時半起きでのスタートになった。
まるで、ローカル線で電車通学してた高校時代に逆戻りしたみたいだ。
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