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忙しく支度をして、夜が開けたばかりの山道を下って、また別の山道を登りなおして、ようやくカフェに到着。
うわ、まだ朝もやが立ち込めてるよ。
その中にぼんやりと霞んで建っているログハウス風の建物が、今日から僕が働く『温泉カフェ 玉屋別亭』だ。
制服として借りた黒いTシャツに黒い帽子、黒いカフェエプロンの黒づくめで、いざ、初出勤。勝手口から入って、初めてのタイムカードを押した。
7時35分。
開店は11時の昼食中心のカフェ。
朝の7時半から、どんな準備があるんだろう? と不思議に思ってたんだけど、勝手口のすぐ内側に続く厨房からは、もくもくと湯気が立ち上って、忙しそうな大きい物音がガチャガチャと響いてる。
すごいな。この時間からもう本気の準備作業らしい。
いったいどんな食材をどんなふうに調理しているのか、興味シンシン。つい、そちらの方へ行きたくなっちゃう。
このカフェのメニューは、温泉に来る観光客に提供する昼食が中心らしい。おもに自家製のカレーやハンバーグ、パスタなどだ。ほかに、手作りスイーツもいつくかあるという。
朝からカレーの仕込みやパスタのソース作りなんかをしてるのかなあ。
しかし、まずは、約束していた通りに社長さんのいる事務室へ直行しなくちゃ。
「おはようございます。よろしくお願いします」
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