45人が本棚に入れています
本棚に追加
そして僕が配置されたのは、厨房から客席へと料理を運び、ドリンクを作ってサービスするホール係のセクション。
直接僕の指導を担当してくれることになった調理補助の沢田さんは、教え上手ですごく優しい40代ぐらいの既婚女性だ。明るい話好きのお母さんといったイメージ。
しかし、やっぱり、説明の速度が超速い。
もちろん、全部、口頭。やり方や道具の収納場所の説明はサラッと一度だけ。
「お客さんが来たら、お水出して注文を取って料理のオーダーを調理担当に伝えるのね。そのあとシルバー出してサイドメニューのドリンクやサラダの注文入ってたら、それを用意して持っていってね。料理が出来上がったら、オーダー票に○してから運んで。全部出した後、お客さんに確認して伝票をテーブルに置く。それぞれの手順はこんな感じで、物が入ってる場所は、こことここよ♪」
いやいや、沢田さん、そんなに一度に覚えられないよー!
しかし、今日すぐから、もう実際に接客しなくちゃならないみたいだ。
実は履歴書に、以前にもカフェでバイトしたことがある、と書いたから、
「青池くん、この仕事、経験あるんだよね~!」
のひと言で、あまり丁寧に教えてくれない。
経験あるって言ったって。前のカフェはホントにシンプルなテイクアウトのドリンクだけの店だったし、注文から会計までのシステムもドリンク作る順序も決まりごとも、店ごとに違うのが普通でしょーっ!
最初のコメントを投稿しよう!