1 初出勤!

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 同じホール担当に、僕より若いハタチの女の子がいる。  皆からヤマちゃんと呼ばれる、背の高いしっかりものの女の子だ。  その一番若いヤマちゃんが、実は新入りの僕に対して、誰よりも一番容赦がなかった。 「青池さん、それ、ちがいますよ」 「青池さん、2番、早く片づけてください」 「メニューの位置が違ってる。テーブルセッティングは、きまり通りにお願いします!」 「青池さん、あれ、やったんですか? ちゃんと拭きましたか?」   いちいち細かいミスを指摘してくる。  それどころか、僕が何か間違えると、小さく舌打ちしたり、溜息ついたりしてるんだぞ。  新人の僕に良かれと思って指摘してるんじゃない。  僕のやることにイラついて頭にきて言ってるってことだ。    年下の小娘のくせに!   料理長や社長よりよっぽど目上視線じゃないかっ!  アンタがここで一番エライのかよ???  いや失礼しました(汗)   性格はたぶん穏やかな方だという自覚があるんだけど。  久しぶりで「ムカつく」なんて低レベルな感情を味わってしまった。     おそらく、ヤマちゃんとしては、自分の持ち場にいきなり入ってきた僕の存在が目障りなんだろう。  そういう意味ではすごい露骨で正直な子だと思う。  というわけで、思いっきりムカムカしつつ、まだ何の仕事もまともにできないから言い返すこともできず。  ドヨーンと黒い霧に包まれたような暗ーい気分で、初日の仕事を終えたのだった。。。
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