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同じホール担当に、僕より若いハタチの女の子がいる。
皆からヤマちゃんと呼ばれる、背の高いしっかりものの女の子だ。
その一番若いヤマちゃんが、実は新入りの僕に対して、誰よりも一番容赦がなかった。
「青池さん、それ、ちがいますよ」
「青池さん、2番、早く片づけてください」
「メニューの位置が違ってる。テーブルセッティングは、きまり通りにお願いします!」
「青池さん、あれ、やったんですか? ちゃんと拭きましたか?」
いちいち細かいミスを指摘してくる。
それどころか、僕が何か間違えると、小さく舌打ちしたり、溜息ついたりしてるんだぞ。
新人の僕に良かれと思って指摘してるんじゃない。
僕のやることにイラついて頭にきて言ってるってことだ。
年下の小娘のくせに!
料理長や社長よりよっぽど目上視線じゃないかっ!
アンタがここで一番エライのかよ???
いや失礼しました(汗)
性格はたぶん穏やかな方だという自覚があるんだけど。
久しぶりで「ムカつく」なんて低レベルな感情を味わってしまった。
おそらく、ヤマちゃんとしては、自分の持ち場にいきなり入ってきた僕の存在が目障りなんだろう。
そういう意味ではすごい露骨で正直な子だと思う。
というわけで、思いっきりムカムカしつつ、まだ何の仕事もまともにできないから言い返すこともできず。
ドヨーンと黒い霧に包まれたような暗ーい気分で、初日の仕事を終えたのだった。。。
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