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17 思いがけない副産物(つづき)
しかし、やはり未波の中から辻上の存在が消えるということはない。
それだけに、アタックをされ続ける未波には困惑が広がるばかり。
そして浮かんでくるのは、愛しい恋人のこと。
レイ、どうしてるだろう。
もう10月も、半ばを過ぎた。
そろそろ彼との約束の半年になる。
しかし、彼からこの事実上遠距離恋愛の終わりは、まだ告げられていない。
だからといって未波からこの事を切り出すことは、
必死に頑張っている辻上をせっつくようで躊躇われた。
そして10月の最終金曜日を迎えた、この日。
1時間余りの残業をして帰路についた未波を、ビルのエントランスのところで伊達が追いかけてきた。
「駅まで一緒に帰ろう」
一瞬、躊躇が未波の胸に浮かんだ。
だが、さすがに食事でもデートでもない誘いは断れなかった。
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