413人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなの持って来てないんだけど、二人とも。
「じゃじゃじゃーん!」
宇城くんがわたしの前にぴらりと見せたのは、さっき荷物を入れたコインロッカーの鍵だった。
「えっ? どういうこと?」
「ちゃんと買ったじゃん! アウトレットで二人ぶんのTシャツと、波菜のスカート。あのスカートマジでかわいかったわ。やったぜ、早く見たい」
「!」
あの五百円のTシャツ!
ペアで買ったのかと最初は喜んだのに、宇城くんがなにも言ってくれないから、最終的にわたしはかなり凹んだ。
「行こうぜ。波菜」
自然に出された右手に一瞬戸惑い、でもわたしはそれを握り返した。
最初のコメントを投稿しよう!