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脱水機があったから濡れた服は一応それにかける。
脱水してももちろん乾くわけじゃないから、宇城くんがアウトレットで上下の服を買ってくれたことは大いに役にたった。
わたしの運動神経が、壊滅状態に近いことを見こされていたんだと思うと、それはそれで複雑だけど。
ドライヤーで髪をかわかしながら考える。
わたしの服は上下買ったけど、宇城くんはTシャツしか買っていない。
ハーフパンツは濡れたままだ。
それで自転車を漕ぐのか。
脱水したとはいえ、気持ち悪いだろうな。
どうして自分のぶんは買わなかったんだろう。
更衣室を出ると、売店前のベンチに座り、宇城くんが所在なさげに携帯をいじっていた。
わたしに気づくと視線をあげた。
「おお! 波菜、やっぱそれ似合うじゃん。めっちゃかわいい!」
「宇城くん、濡れたままのハーフパンツで自転車こぐのよくないよ。いくら真夏でも風邪ひくかもよ?」
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