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「そんなヤワじゃねえよ。脱水してタオルで拭いたらかなり乾いた。撥水加工っぽいの、履いてきてるもん」
用意中東! とかわけのわからないことを呟きながら出口に向かう。
ああ、用意周到って言いたいのか。
単純な言葉の思い違いが多くてみんなにバカバカ言われるのも、もはやわたしにとっては魅力以外の何ものでもない。
「ねえ、このTシャツとか全部買ってもらっちゃったんだからさ。売店で宇城くんのも買おうよ。これはわたし買うから――」
ハーフパンツがいくつもかかっているラックの前で、商品の値札に動作が止まる。
高い! なんだこれ! わたしのお小遣いじゃ無理!
よくよく確認すると、けっこうなスポーツ系ハイブランドだった。
「な? そこの売店たっけーだろ?」
「……うん。アウトレットでわたしのは買ったのに……」
「ちょっと小遣いが危うかった。いいよ。俺が無理に波菜をここに連れてきたようなもんだろ?」
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