◇◇◇◇◇2・シンデレラのドレスは72時間◇◇◇◇◇

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「……ちがうよ」 「ん?」 「楽しかった。わたしもここに来たかった。無理に連れて来られたわけじゃないもん」  宇城くんは鼻で笑うようなシニカルな表情をした。 こういう顔は、彼にしては珍しく……ううん、初めて見るものかもしれない。 「池ドボンしたのに?」 「うん。楽しかったよ。すごくすごく楽しかった!」 意地になったようにそうくり返すわたしに、宇城くんの唇から皮肉っぽい笑みが消えていく。  「波菜が池にはまるかもな、ってそれ前提で俺、服まで買ってたんだぜ?」 「わたしが池に落ちたら助けるつもりで、自分の服も買ってるじゃない」  即答するわたしに宇城くんはかすかに戸惑い、一瞬黙る。 「波菜どうした? 今日はやけに強気じゃんか」  更衣室を出てすぐの緑の多いコンコースで、ペアのTシャツを着た男女が、対峙して真顔で喋っている。 道行く人の好奇の視線がプスプス刺さるよ。
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