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いつもと違う、どこか弱気な声音だった。
「なに?」
「あのさ」
「うん」
「えーと、その、……だな」
「うん」
「俺と、つ…………」
そこからしばらく黙るから、どうしたのかと小首をかしげて先をうながした。
一瞬きゅっと唇を噛みしめると、宇城くんはダッシュでわたしのとなりに来た。
「なんでもねーよっ。ここ景色もきれいだろ? 一緒に写真撮っとこーぜ!」
いきなり肩を寄せてきてピースサインを作る。
「え? う、うん」
突然の申し出にわたしがまごついていると、カシャっとシャッターを切る音がした。
ポケットに携帯はいれていたらしい。
「ラッキー。波菜とツーショット、またゲットしちゃったぜ」
そういえばアウトレットでも撮ったな。
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