◇◇◇◇◇3. おもちゃのチャチャチャ◇◇◇◇◇

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パンクをして洋くんに出会うまでの、言葉はなくても満ち足りていた宇城くんと二人の帰り道。 一瞬のみごとなグラデーションで、空気の色が優しいピンクから重苦しい鉛色に変わってしまった。 わたしが話さなくなったからか、宇城くんも何も言わなかった。 さっきまでとは真逆だ。 今の沈黙はどうしてこんなに苦しいんだろう。 沈黙って案外雄弁なんだな、なんて……こんなところで二律背反の発見。 「やっだー! やっぱり二人、そういうことになっちゃったんだぁー?」  空気を読まない能天気な声があたりに響いた。 「はい?」  別荘の自転車置き場で奏とでくわした。 手に濡れた水着を持っていたから、今日の海水浴で使ったそれを裏庭に干しに来たんだろう。 奏のいう「そういうこと」にはすぐ思い当たった。 わたしと宇城くんがペアのTシャツを着ていたからだ。
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