◇◇◇◇◇3. おもちゃのチャチャチャ◇◇◇◇◇

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涙があふれてきそうになって、わたしは慌てて顔をそらした。 踵を返し、その場から走り出す。 「波菜待って! 待ちなさいってば!」  奏の言葉が追ってくる。  自分がどこをどういうふうに走っているのかわからない。 「待って波菜」  わたしの腕が掴まれる。 全力疾走なんか、体育祭の時くらいしかしない文科系女子が、バスケ部キャプテンの足にかなうわけはなかった。 「か、奏」  わたしはようやく自分を取り戻し、止まろうとしてたたらを踏んだ。 過呼吸になりそうで、両膝に両手をついて肩で息をした。
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